トラウトの生態・習性

【トラウトの養殖を徹底解説】養鱒場で行う3工程(採卵・受精・孵化)や管釣りの裏事情をご紹介!

今回の記事では「トラウトの養殖」についてご紹介していきます。

トラウトとは、一生を淡水域で過ごすサケ科の魚の総称です。

日本ではトラウトのことを「マス(鱒)」と呼ぶことが多く、身近なトラウトとして「ニジマス(虹鱒)」が存在します。

 

みなさんには、今回の内容が複雑にならないためにも「トラウト=マス(鱒)」という認識をもって読んでもらえたら幸いです。

この点はご了承ください。

それでは、「トラウト(マス)の養殖」について一緒に学んでいきましょう!

 

トラウトは養鱒場で育てられる!

みなさんは「養鱒場(ようそんじょう)」をご存知ですか?

養鱒場とは、トラウト類を養殖する施設のことで、水産増養殖業の振興や河川における資源維持を目的に運営されています。

僕たちにも身近な「ニジマス」「ヤマメ」「イワナ」「ヒメマス」「ビワマス」といった、多種多様なトラウトが人の手で大切に育てられているんです。

 

近年では、ブランド鱒(紅富士、ギンヒカリ、頂鱒が有名)の養殖や、水産試験にも力を入れています!

BBQ場やキャンプ場を併設している養鱒場もあり、長期休みに遊びに行くのも面白そうです。

 

日本でトラウトを育てるのは非常に難しい。

トラウトは「水温」「水質」などの変化に敏感なので、生息できる環境が限られてしまうんです。

彼らを健康に育てるためには「水質が澄んで綺麗」「水中に酸素が豊富に溶けている」「一定以上の水量を確保ができる」を満たした「養鱒場」が必要不可欠なのです。

 

養鱒場でトラウトが育つ流れを「採卵」「受精」「孵化」の3工程でご紹介

トラウト養鱒場で育つ工程を「採卵(さいらん)」「受精(じゅせい)」「孵化(ふ化)」に分けて一緒に見ていきましょう!

ちなみに、トラウトの養殖は水温が下がり始める晩秋(11月ごろ)から始まります。

 

工程①:採卵(さいらん)

採卵(さいらん)とは、人工的に親魚から卵を取り出すことを言います。

採卵するときは、トラウトのお腹を捌くことはしません。

1匹づつ成熟したメスの親魚(生後3年〜5年程度の成魚)のお腹をなでたり、強く押すことで卵管から絞り出します。

成熟具合を見極めるのには、メスの「腹部に卵が溜まっているか?」を触って調べるそうですよ!

 

工程②:受精(じゅせい)

受精(じゅせい)とは、採卵した卵に、選抜されたオスの精子をかけて結合させることを言います。

調べたところ、8匹のメスから採取した卵に対して、4匹のオスの精子が必要になるそうです!

受精後の卵は15分ほど経過すると、水分を吸収することで「硬化」してきます。

こうして、外部からの衝撃やほかの精子が卵の中に入るのを防いでいるんです。

 

受精が完了した卵は、軽量された後にカゴに集められ「孵化場」に移されます。

それでは、トラウト養殖の最終工程である「孵化(ふ化)」について見ていきましょうか!

 

工程③:孵化(ふ化)

孵化(ふ化)とは、受精卵を破って子どものトラウトが外に出てくることを言います!

生まれたばかりのトラウトを「仔魚(しぎょ)」と呼び、成長段階のトラウトを「稚魚(ちぎょ)」と区別するので覚えておくとより専門的です。

 

受精卵は2週間ほど経過すると、発眼卵という状況に変化します。

この時期の卵の中には、今後トラウトの眼になる細胞が出来上がってきている状態で、黄色やオレンジ色の卵の中にポツンと黒い点が見えます。

 

発眼を確認してから1週間後には、検卵作業を行い「死卵」「未受精卵」を取り除きます。

白く濁った卵を放置しておくと、水カビが繁殖してしまい、周囲の健康な卵にも悪影響が出てしまうんです。

そのため、発眼卵が孵化するまでのおおよそ1週間から10日程度は、こまめに検卵作業を行いますよ!

 

孵化した後のトラウトはどうなる?

孵化したばかりのトラウトは5cm程度になるまでは水槽内で育てられます。

5cmを超えたトラウトたちは、養殖場の生簀に運ばれ20cm前後になり次第「食用」「釣り堀用」として出荷されます。

 

【余談】養鱒場にいるトラウトの主食は?

養鱒場では魚粉や小麦粉などを粒状に固めたペレットをトラウトの餌として与えます。

そのため、管理釣り場に放流されているトラウトたちは、ペレットのようなルアーに好反応を示すことが多い。

覚えておくと、出会えるトラウトの数が増えるかもしれません!

 

【トラウトの養殖事情】
昔と今の養鱒場で起きている変化とは?

養鱒場で育ったトラウトは「食用」「釣り堀用」として世の中に送り出されます。

昔と今では、「食用」「釣り堀用」の割合に大きな変化が生じました。

昔は「食用=1割・釣り堀用=9割」だったのに対し、今は「食用=8割・釣り堀用=2割」という割合です。

釣り人にとっては悲しいことですが、管理釣り場に送り出されるトラウトは減ってしまいました。

 

この背景には、海面養殖されたニジマスが、僕たちの食卓に名前を変えて現れたことが関係しています。

みなさんは「トラウトサーモン」「サーモントラウト」を知っていますか?

回転寿司では、サーモンとしてよく食べられていますね。

このように食用のトラウトの需要が激増したことで、養鱒場における「食用」「釣り堀用」のトラウトの割合が変化したのです。

 

管理釣り場にも影響が出ているという事実

養鱒場で育ったトラウトたちは、需要のある「食用」として優先的に世に送り出されます。

トラウトの成長速度は、メスに比べてオスの方が早いです。

つまりですね、すぐ育つオスが食用として出荷され、残ったメスは釣り堀用として管理釣り場に届けられるのです。

その結果、近年の管理釣り場には「メスのトラウトが多く放流されている」という裏事情が存在します。

 

メスのトラウトの放流が増えるとどうなる?

ナワバリ争いをするオスに対して、子を産み育てるメスは攻撃性が低く、警戒心が強い傾向があります。

警戒心の強いメスのトラウトを釣るのは難しいです。

そのため、近年の管理釣り場で釣果を上げるのは年々難しくなってきているように感じます。

 

実際に、「最近のトラウトは臆病で闘争心が弱い」とか、「昔よりスプーンルアーやクランクベイトに簡単に反応しない」と感じている人は多いです。

SNSやYouTubeでも良く耳にするので、かなり信ぴょう性のある情報だと思います。

 

トラウトの「ヒレピン」に注目!

トラウトを健康に育てるため、養鱒場では稚魚の段階からこまめに選別作業を行います。

人の手や網を使い、トラウトの状態を選別していくのです。

その際、彼らは傷ついたり、ヒレが失われていくこともあります。

 

また、限られた施設内で過密養殖が行われることもしばしば。

トラウトを狭い場所に放流しておくと、トラウト同士の共食いや壁面へのスレが多くなり、ヒレが失われる可能性が高まります。

結果として、美しかったトラウトのヒレはどんどん削れていってしまいます。

 

トラウトはヒレを使うことで、水中を素早く移動します。

そのため、ヒレのないトラウトの引味は、ヒレのあるトラウトよりも弱めです。

 

現在の養殖業界を考えると、管理釣り場に「ヒレピン」のトラウトが放流されているのは当たり前ではありません。

養鱒場や管理釣り場のスタッフさんたちの尽力があってのことです。

強烈でパワフルな引き味を楽しませてくれるトラウトを釣らせもらえることへの感謝を忘れずに、管釣りを思いっきり楽しんでいきましょう!

 

まとめ

トラウトの養殖についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

この記事を通して、僕が伝えたかったことは、「管理釣り場にトラウトが放流されていることはありがたい」ということです。

 

養鱒場のスタッフさんたちが「採卵」「受精」「孵化」を丁寧にクリアし、さらには「ヒレピン」という最高の状態でトラウトを僕たち釣り人にまで届けてくれています。

目には見えませんが、管理釣り場はたくさんの人々が関わって運営されているのです。

これからも、トラウトという生き物の命を大切にすることを心がけて、管釣り業界を盛り上げていきましょう!

 

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